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IoTがもたらす未来の交通のあり方~スマートモビリティ社会の実現に向けて

IoTといえば、よく「スマート××」と言われます。代表的な例は皆さまも毎日お使いの「スマートフォン」。電話(モノ)がネットにつながっているので、スマホもれっきとしたIoT製品です。
今回は「スマートモビリティ」について考えてみます。


1. スマートモビリティとは何か?

スマートモビリティとは、モノ同士をつなぐIoT技術を活用した未来の新しい交通インフラのあり方のこと。
都市環境だけでなく、自然環境にも配慮しながら、円滑で快適な移動を実現するための交通手段、またそれを可能にするシステム、さらにはそうしたコンセプト自体を指す言葉です。
これまで主流だったガソリン車に代わり、様々な燃料で走るスマートモビリティが既に公道を走っています。
それぞれのメリット、デメリットを踏まえてご紹介していきましょう。

EV(電気自動車)

スマートモビリティ社会の実現にとって重要なものの一つが、EV(Electric Vehicle=電気自動車)の存在です。EVとして最もよく知られるのは、電池式電気自動車と呼ばれるもの。
家庭もしくは充電用スタンドのコンセントから充電する電気をエネルギーとし、電気モーターを動力源とする自動車のことで、走行する上でCO2など環境にとって有害な排出物がなく、また騒音の原因となる内燃機関を搭載しないため、きわめて騒音が少ないのが特徴です。
ただ現時点では、走行距離が短いこと、充電に長い時間がかかることなどの課題もあります。

燃料電池車

燃料電池車もスマートモビリティの重要な要素の一つです。代表的なものが水素燃料電池で発電した電気によって電気モーターを駆動させる電気自動車、FCV(Fuel Cell Vehicle=水素燃料電池自動車)。3分ほどで水素を燃料タンクに充填できるうえ、走行距離が長いのが特徴ですが、電池式電気自動車に比べてエネルギー効率が落ちるほか、ステーションなどを燃料供給のためのインフラ整備に莫大な時間や費用がかかるなどのデメリットが指摘されています。


画像引用:燃料電池自動車(FCV)のしくみ – 水素・燃料電池実証プロジェクト -JHFC

PCV(プラグインハイブリッドカー)

トヨタのプリウスに代表されるPHV(プラグインハイブリッドカー)もスマートモビリティ社会実現のために期待されている移動手段の一つです。

外部電源から充電できるタイプのハイブリッド自動車で、走行時にCO2や排気ガスを出さない電気自動車のメリットとガソリンエンジンとモーターの併用で遠距離走行ができるハイブリッド自動車の長所を併せ持つ自動車です。
引用:経済産業省HP

通常のハイブリッドカーとの大きな違いは、家庭用の電源からプラグを通じて充電が可能であること。また搭載している電池の量が多いため、ガソリンや内燃機関を使うことなく、つまり有害な排出物の量を極力減らした長距離走行が可能であることです。また燃料走行も可能なため、ガソリン車と同じくらい速く給油することができますが、内燃機関を搭載するため、コストや重量がかかり、車内空間も狭くなる傾向があります。


2.スマートモビリティ社会を支える都市インフラ

これらのEVを縦横無尽に走らせるのに欠かせないのが充電スタンドや燃料ステーションなどのインフラ整備です。
現在計画されているのは、急速充電器を使って短時間で電池を充電するもので、ガソリンスタンドと同じように公道に面した公共の領域で不特定多数の人々が利用できる接触式充電サービスが想定されています。

またこうした充電設備は、街中だけでなく各家庭や事業所に設置されることも計画されています。これは、太陽光発電・蓄電池などを一括管理するHEMS(Home Energy Management System)や自家発電装置とEVとを接続するV2H(Vehicle to Home)システムを利用したスマートホームの概念とも連動しています。家庭用蓄電池からEVへとワイヤレスで充電できるシステムの開発なども進行中です。

もちろんスマートモビリティを構成するのは自家用車だけではありません。EVのほかにも、必要な時にだけ運行するオンデマンドバス、また、混雑度合いに応じて調整可能な鉄道ダイヤなどについても、来るべきスマートモビリティ社会にとって重要な要素として研究が進められています。

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3. スマートモビリティの実証実験事例

IoTの仕組みを利用したスマートモビリティ社会の実現に向けて、国内外の企業各社が様々な取り組みを行っています。この項では、とくに自動車メーカーによる先進的な試みに焦点を当てて、その実証実験の一部を取り上げてご紹介していきます。

トヨタ

トヨタ自動車スマートモビリティに最も積極的に携わろうとする企業の一つと言えるでしょう。
まずご紹介したいのが、2014年から実施されているフランスの南東部に位置するグルノーブル市での次世代都市交通システムの実証実験です。
超小型のEVと公共の交通機関とを連携させることで、渋滞の緩和・温室効果ガスの削減を目的とした新しい移動手段のあり方の普及に努めています。都市交通の具体的な未来予想図を模索する取り組みと言えるでしょう。
この実験で使用されているのは「i-road」という前2輪、後ろ1輪の電動3輪式の自動車。前2輪の傾きがコンピューターによって制御されており、直線では車輪は直立していますが、カーブにさしかかると速度に合わせて傾斜し自動的にバランスを保つようになっており、遊園地の乗り物やスキーにも例えられる滑らかな走行が特徴です。

また国内でも、2014年に豊田市で「i-road」の試乗体験イベントを開催。また2015年には東京でも「i-road」の貸出ステーション(1カ所)と返却ステーション(5カ所)を設置し、シェアリングサービスの実証実験も行っています。街と街の間を一人で気軽に移動できるため、公共交通機関の経路などの制限からこれまでアクセスしづらかった場所が身近になるなど、新たな都市生活の楽しみ方を提供する試みとして一定の評価を得ました。

ホンダ

本田技研工業は、200Vであれば3時間以下で充電できるリチウムイオンバッテリーを搭載した二人乗りの小型EV「MC-β」を開発。
さいたま市・宮古島市などに東芝と連携して太陽光発電による充電ステーションを設置し、市の公用車として公道での実証実験によって、エネルギーの地産地消を目指し、データ収集を行いました。(実証実験は2016年3月で終了)

honda

BMW

ドイツのBMW社は、MINIによるEV「MINI E」を一般ユーザーや研究機関に貸与し、ガソリン車である「116i」「ミニ・クーパー」との日常生活における走行パターンを比較する実証実験をドイツのベルリンで行っています。
その結果、「MINI E」ユーザーの1度の平均距離は9.5km。ガソリン車がそれぞれ11km/11.7km程度と大きな差はなく、1日あたりの平均走行距離も37.8kmと、やはりガソリン車(42km/43.5km)とほとんど変わりませんでした。

ちなみに「MINI E」の最長航続距離平均は150kmで、90%以上のユーザーが満足していると回答しています。また充電に関しては、5時間以上かけて行うケースが8割を占め、急速充電のための施設の必要性を感じないとする意見が多く寄せられました。
1972年のミュンヘンオリンピック開催時にマラソン伴走車としてすでにEVを走らせるなど、EVの開発に古くから関わるBMW社の取り組みからは今後も目が離せません。


4. さいごに

スマートモビリティの概要や、国内外の自動車メーカーによるスマートモビリティ社会に向けた実証実験の事例についてご紹介してきました。
IoT技術を活用した新たな交通手段や交通インフラによるスマートモビリティ社会の到来までには、まだかなりの時間がかかると思われますが、やがて来る自動運転社会と合わせ、その歩みは着実に進められています。

スマートモビリティ社会の実現を早めるためにも、また、より私たち利用する側に寄り添ったシステムとするためにも、スマートモビリティを志向する様々な企業や団体の取り組みに対し、利用者である一般の方ももっと積極的に参加することが期待されます。

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