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IoT技術に基づくスマートグリッドが実現する「エネルギーの最適化」

IoTといえば、よく「スマート××」と言われます。代表的な例は皆さまも毎日お使いの「スマートフォン」。電話(モノ)がネットにつながっているので、スマホもれっきとしたIoT製品です。
今回は「スマートグリッド」について考えてみます。


1. スマートグリッドとは何か?

スマートグリッドとは、電力の流れが最適化された送電網のことで、次世代送電網などと翻訳され「洗練された電力網」といったような意味合いで使われる言葉です。

もともとスマートグリッドという考え方は、脆弱な送電網に起因する停電問題を解決するためにアメリカに起こったもので、1970年代にはすでに提唱されていましたが、最近になってオバマ政権が重要な政策の一環として打ち出したことで、電力の安定供給を可能にする低コストシステムとして注目を浴びるようになりました。

スマートグリッドは、発電所と家庭や工場などがIoT機器でつながった、次世代電力量計とも呼ばれます。
電力会社はHEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)を通じて、各家庭・工場・オフィスの自家発電量や個別の電力消費量を詳細に把握することができるため、送電量を調節するなどの一括制御が可能になります。また電気消費量の適格な予測も容易となるため、より効率的な発電所や変電設備の設置が促されるなど、あらゆる無駄が省かれることになります。

管理対象により、HEMS(ヘムス)、BEMS(ベムス)、FEMS(フェムス)、CEMS(セムス)という名前がそれぞれ付けられています。HEMS(ヘムス)は住宅向け、BEMS(ベムス)は商用ビル向け、FEMS(フェムス)は工場向け、CEMS(セムス)はこれらを含んだ地域全体向けとなります。
引用元:http://mono-wireless.com/jp/tech/HEMS.html

スマートグリッドにとって、安定した電力供給だけでなく、太陽光及び太陽熱発電に代表される、環境に配慮した自家発電設備の導入もまた重要な構成要素と言えるでしょう。
クリーンなエネルギーの地産地消が可能となれば、現在の発電システムの副産物として発生している有害な排出物を削減すると同時に、現在の送電網で生じてしまっている送電の際の電力ロスもまた大幅に軽減されることになります。

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電力ロスに関していえば、超電導ケーブルもまたスマートグリッドにとって有用です。超電導とは、金属を低温にすると電気抵抗がなくなる現象のこと。
液体窒素によって超電導を起こすケーブルを利用することで、送電による電力ロスを防ぐことができます。ただし希少な元素を必要とするため、現時点ではコストがかかり実用化の目処がたっていません。

さらにスマートグリッドには重大なリスクの存在が指摘されています。代表的なのがセキュリティに関する問題です。
スマートグリッドには、IoT技術を活用した通信システムの利用が欠かせませんが、万が一、不正操作が行われた場合に甚大な被害をもたらす可能性があります。目下のところ、対策は十分とはいえず、脆弱性の克服が待たれます。


2. スマートグリッドに参加している団体や企業について

アメリカでは停電対策を主たる目的として展開されるスマートグリッドですが、国内ではより環境への配慮を意識、再生可能エネルギーの導入が重視されています。そのため、システム作りにはさまざまな分野の企業の協力が欠かせません。
スマートグリッドへの国内企業の取り組みについてご紹介します。

東京電力

東京電力は、サービスエリアを対象に、2020年までにおよそ2,700万台のスマートメーターを設置する予定です。30分毎の電力使用量を30分毎に送信するという先進的な試みで、IoT技術を活用したスマートメーターの開発はもとより、通信のためのシステムや制御システムの構築・運用までを行おうというものです。

また早稲田大学とともに、送電にともなう電力ロスを最小にするための実証試験にも携わっています。この実験では、センサーを内蔵した開閉器を電柱に設置。電気の流れ方を最適化する方法につい検証するほか、開閉器で収集したデータを用いて電力ロスを削減する効果の評価と検証を行い、送電による電力ロスを最小にするための送電網の運用について検討されます。

東芝

東芝は、分散型の電源と蓄電池とを効率良く連携させることで安定した電力供給を低コストで実現し、同時に有害な排出物の削減を目的としたグリッド監視装置「μEMS(Micro Energy Management System)」の開発を進めています。
また太陽光発電システムと、その出力の変動に合わせた長寿命でしかも安全性に優れた蓄電池システムのほか、さらには各家庭や工場・オフィスで使用するスマートメーターや、スマートメーターが計量した各種データを表示するためのインホームディスプレイの開発など、さまざまな領域でスマートグリッドの推進・普及に努めています。

古河電気工業

古河電気工業は、超電導ケーブルの開発に携わっています。
275キロボルトで150万キロボルトアンペアの送電を可能とする世界最高水準の高温超電導ケーブルを開発し、長期通電試験によって30年相当の寿命を検証し、安全性の確認に成功しています。

住友電気工業

住友電気工業も、66キロボルトの超電導電力ケーブルを開発。世界最大級となる5キロアンペアの通電が可能であることを実証し、電力ケーブルと比べた送電による電力ロスを従来の1/3以下とすることに成功しています。


3. 「スマート××」がつながるスマートシティ

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スマートメーターなどのIoT機器を通じて電力の供給を効率良く行なうスマートグリッド。そしてEVなどスムーズで快適な交通手段と、それを可能にする充電システムが整備されたスマートモビリティ。これらが複合的に組み合わされることで形成されるのがスマートシティです。

将来的な人口増加に伴ってエネルギー消費量の大幅な増大が想定される今、自然環境に配慮した省エネ都市作りへの要求が高まっています。
スマートシティを実現するためには、家庭や工場・オフィスと発電所などを双方向通信が可能な情報ネットワークと送電網で結び、太陽光・太陽熱や風力によって発電された再生可能エネルギーを効率的に使って環境への負荷を最小限に抑えるスマートグリッドシステムが欠かせません。

またそれと連動する形で、HEMSなどによって家庭内のエネルギー消費を自動制御する住宅、すなわちスマートホームの存在も重要です。そして徹底的に無駄を省いた交通システム、スマートモビリティなくしては都市として機能し得ません。そんな「スマート」が幾重にもかさなったスマートシティこそ、IoT技術を活用して私たちが構築しようとするものに他なりません。安全で快適な私たちの未来社会が一日も早く実現することが待たれます。

4.さいごに

IoT機器・技術がもたらすスマートグリッドの概要、また実現に向けた取り組みについてご紹介してきました。
いまだ多くの課題を抱えてはいますが、「スマート」な社会を現実のものにするために、私たち一人一人が自然環境への意識を高めながら、一歩ずつ確実に前進していきたいものです。


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