141212

「普通のビーコン」と「iBeacon」の違い、あなたは分かりますか?~Appleが主導するビーコン市場の現状を検証~

現在、ビーコン(店内追跡)テクノロジーは急速に進化を遂げており、様々な商品が開発されています。また、ちょうど1年前にAppleがiBeaconを発表して以降、マーケットの需要は活発化してきていますが、最近になってAppleはiBeaconの規格変更も実施しています。

(引用元:Beacons / cogdogblog

この1年間で、多くの企業がコインほどの小ささの回路基板を様々な形にアレンジしたビーコン製品を世に送り出してきています。ただし、こういった製品はどれもが一括りにしてiBeaconと呼ばれていますが、果たして省エネタイプの小型Bluetoothを搭載したビーコンは全てiBeaconと呼べるのかというと、答えはNOです。

従って、ここでは本当のiBeaconとはどういったものかという事をはっきり定義したうえで、プリント回路板(PCD)、マイクロチップ、アンテナのデザイン、そしてファームウェアなどの各要素を検証しながら、どのビーコンテクノロジーが将来的に伸びてくるかを見ていきたいと思います。

さて、普通のビーコンとiBeaconの違いを説明する前に、そもそも iBeaconとはどういったものを指すのかを明確にしたいと思います。


iBeaconとは

iBeaconの定義としては「Apple社の登録商標である新型の屋内測位システムで、省エネかつ低コストの発信器を搭載し、近距離にあるiOS 7 または 8のデバイスにその存在を知らせるものである」となります。つまりこのテクノロジーを搭載したスマートフォンやその他のデバイスは、iBeaconが近くにある際に反応することになるのです。

実際の利用例としては、スマートフォン使用者に現在の所在地と周辺状況を発信することが可能であるため、スマートフォンに搭載されたソフトウェアによって店内に設置されたiBeaconとのおよその距離や位置関係を把握することが出来るのです。

このようにしてiBeaconを活用することで、現在いる店内フロア周辺における特売商品情報を表示したり、財布を取り出したりカードを使う必要もなく支払いを済ませることも可能になります。

こういった特徴を持つ iBeaconは、省エネ設計Bluetooth(BLE)、別名Bluetooth Smartと呼ばれるテクノロジーによって作動しています。

iBeaconに搭載された省エネ設計Bluetoothは全世界共通型である独自の信号を発信し、iBeacon対応型アプリやLightcurbと呼ばれる専用プラットフォームによって受信され、その信号はインターネット上確認することが出来る他、デバイスの現在地を把握したり、ソーシャルメディアへのログインやメッセージの表示などのアクションを起こさせることができます。

これまでに多くの企業がハードウェアとしてのビーコンを開発しており、その種類はコイン型デバイス、USBスティック型、 または一般的なBluetooth 4.0対応USBドングルなど多岐に渡ります。

また、その名の通り省エネ設計のBluetoothはかなりの電力消費量軽減化を実現します。実生活においては、近距離にあるビーコンから受信することに伴う携帯電話の電池の減りはわずか1%以下に抑えられるという調査結果がAislelabsから発表されています。


急成長するビーコン市場

ビーコン製品はこの1年間で人気に拍車がかかり、この先もその勢いは増す一方であるとみられます。

人気のビーコンのほとんどが電池式で作動し、その種類や形、チップセットに電池のサイズ、さらにファームウェアなどのバリエーションも多岐に渡ります。

このように非常にたくさんの製品が市場にあふれており、新製品も毎日のように続々と登場しています。しかし、本当にiBeaconと呼べる製品はほんの一握りのみです。では、その違いはどこにあるのでしょうか?

詳しく見ていく前に、まず大事な基本となる電源について理解しておきましょう。すでに述べたように、人気の高いビーコンのほとんどがボタン電池や乾電池によって作動しています。


実践的な電池式ビーコン

ビーコンの電池消費スピードは、特にコードから電源が取れない場所に設置するような場合は非常に重要になってきます。しかし、ビーコンは現在数多くの場所に採用されているので、それらすべてを監視しつつタイミング良く電池を交換するというのは実に大変な作業です。これを踏まえると、ビーコンには寿命の長い電池を使用することをお勧めします。

(引用元:batteries / bitslammer

ただ、現在ビーコン販売業者の多くが自社製品の電池寿命は2年ほどであるという謳い文句で宣伝をしていますが、安易に信用しないことが大切です。

確かにビーコンは1回の電池交換で最長2年まで作動することは可能ですが、それは条件付きということになりますので、一般のビーコンとAppleの iBeaconの違いを説明しながら詳しく見ていきましょう。


重要な要素となる「データ送信間隔」

さて、すでにビーコンが1個のボタン電池で2年まで作動するというのは使用状況によるということを見てきました。ここで最も重要な要素となるのはビーコンのデータ送信間隔だと言えます。ちなみにデータ送信間隔とはビーコンが信号を送り出す頻度の事を指します。

ほとんどのビーコンのデータ送信間隔は600~700ミリ秒で、これはつまり信号が1秒当たり2回以下の頻度で送信されるということになります。このことは例えば100ミリ秒で送信(毎秒10回送信)されるビーコンに比べると電池消費量は少なくて済むという計算になります。

こう考えると、600ミリ秒のデータ送信間隔で作動するiBeaconの方が電池寿命2年を保障されていて断然お得ではないかと思いがちですが、Appleの設定した規格に準じ、正式にiBeaconと認められるにはビーコンが100ミリ秒で作動していることが前提となり、実際に販売元がiBeaconの名称やロゴなどを使用する際にはこの要素を必ず満たしている必要があります。

ちなみにプリント回路板やビーコンのデザインには多くの種類があり、話題のEstimote iBeacon、金メッキを使用したLightcurb iBeacon、さらにKontakt iBeaconなどに始まり、Glimworm、Minewといった種類のiBeaconも出回っています。


販売競争は激化する一方のビーコン市場

さて、これまで見てきたポイントを踏まえて、ではどのビーコンが優れているかという議論が生じてきます。

すでに触れた通り、各ビーコンは一定の間隔で信号を送信しています。そして通常、送信間隔は600~700ミリ秒ですが、基本的にはより多くの信号を送るとより多く電池を消費することになります。

販売する製品がAppleの iBeaconスタンダードを満たすには、この送信間隔を100ミリ秒にする必要がありますが、そうすると電池の消費量は通常の6~7倍速くなります。ということは、ボタン電池や乾電池を使用するビーコンは耐久性という面で最適とは言えません。

従って、ビーコンを購入する際にはこのAppleのiBeaconスタンダードを考慮した上で、購入を考えているビーコンの製品仕様をよく確認することが大切です。

また、「このビーコンはiBeaconモードではどのようなパフォーマンスを見せるだろうか」、または「電池交換は簡単に出来るだろうか」「このビーコンは自分の店の状況にマッチする製品だろうか」などをよく考える必要があります。ビーコン製品の価格は決して安くないので、間違ったビーコンは購入しないようにしたいものです。

ビーコンの品質

ビーコン製品の品質には多くの要素が絡んでおり、プリント回路板(PCD)、アンテナのデザイン、メインチップ、電池コネクタ、そしてその他の各種内臓機器 などが一例として挙げられます。

プリント回路板(PCD)のデザインと品質

プリント回路板には多くの異なる種類があり、オランダのGlimwormに代表されるようなシンプルかつ機能性の高い汎用製品からEstimoteやLightcurb のように高性能なものまで幅広く市場に出回っています。

一般的には安価なビーコンほど プリント回路板の性能は低くなり、デザインに劣るプリント回路板は結果として電池の消耗も速くなり、サビや漏れの原因にもなります。こういった要素はビーコンの寿命に大きく影響を及ぼしますので、デザインに優れたやや高価なビーコンを購入することをお勧めします。


ビーコンの「造り」

ビーコンの「造り」にも大きく差があり、安いものは簡単にはんだ付けされているのに対し、高価なものは金メッキで仕上げてあります。オランダで開発されたLightcurb iBeaconは金メッキ仕上げの代表格で、それにより電導性も非常に高くなっています。


アンテナのデザイン

アンテナのデザインもまた重要で、デザインが優れていればより少ない電力でビーコンに信号を送ることが出来るのです。その結果電池寿命も長くなり、 Estimoteや先ほど登場したLightcurbなどは高性能アンテナを搭載しています。


低消費電力Bluetoothチップセット

多くのビーコンの中心部に採用されているチップセットとしては2009年に登場したTexas InstrumentのTI CC254x introducedや2012年に登場したNordic SemiconductorのnRF51822があります。

Aislelabsが昨年11月に実施した テストによるとNordic SemiconductorのnRF51822が最高の検査結果を見せ、ビーコンには最適であるということが実証されています。


ビーコン用ファームウェア

ビーコンにはどれもビーコンを作動させるプログラム・コードである特定のファームウェアが搭載されています。そして、このファームウェアは電池寿命に影響を及ぼすいくつかの要素をコントロールすることが可能です。

電波出力:ビーコンデバイスはTX出力として知られる一定の出力で信号を送信します。その信号が空中を移動するにあたって、ビーコンから距離が離れれば離れるほど受信時の信号の強さは弱くなります。この際にTX出力が高ければ信号は長距離間での伝達が可能となり、TX出力が低ければ電池の消費量は少なくて済みますが伝達域も狭くなります。

送信間隔:送信間隔とはビーコンが信号を発信する頻度のことを指します。送信間隔100ミリ秒とは信号を100ミリ秒ごと(毎秒10回)に送信するという意味です。

より送信間隔が長い500ミリ秒の場合、信号は毎秒2回しか送信されないためビーコンの電池消耗は遅くなります。送信間隔が長くなればなるほどビーコンの電池寿命は延びますが、携帯電話側の反応は遅くなります。

送信間隔に「これがベスト」というものはなく、待機時間が短い必要のあるアプリでは送信間隔は短めである必要があり、電池寿命が長い方が良い場合は送信間隔は長めの方が効果があります。

各ビーコンともハードウェアにはTX出力や送信間隔といった独自の動作環境とそれに関連したパラメーターが設定されており、Kontakt、Estimote、RadBeacon、そしてBlueSense Networksには独自のiPhone用アプリが搭載されています。

また、MinewなどのビーコンはLightBlueの iPhoneアプリやLinuxのgattoolのようなGATT(関税貿易一般協定)規格システムに対応したオープンインターフェイスを搭載しています。


iBeacon規格を満たしたビーコンとは

これまでは主なビーコン販売業者は全て自社製品はiBeacon規格を満たしているとしてきましたが、この状況にも変化が出ることになります。つまり、新しくAppleが設定した基準ではより短い送信間隔として100ミリ秒が最低限必要となっているのです。

この新規格は生産側にしてみるとまさに「寝耳に水」の事態です。これまではApple のiBeacon規格を満たしているかどうかは各業者による自己申告制 に委ねられていましたが、今回の変更で電池式ビーコンが大きな問題に直面することは避けられません。

具体的には、電池式ビーコンの特徴(長めの送信間隔)とAppleの新規格(短い送信間隔)は対極にあるため、もしApple側が正式に「iBeacon認定ビーコン」といったシステム化を実施するとなると、電池式のビーコンのほとんどがiBeaconとして認定されないということになるとみられるのです。


お勧めのビーコン

MAX99_nanba-one20141025132405500

これまで見てきて分かるように、iBeaconモードではほとんどのビーコンは2週間ほどで電池の交換が必要となってきます。しかし、ここでご紹介するビーコンは100ミリ秒の送信間隔でも電池寿命が2か月以上あり、Appleの iBeacon認定基準を完全に満たしている製品ばかりですので、iBeaconの購入をお考えの方には自信を持ってお勧めします。

iBeacon認定ビーコン

Estimote  www.estimote.com (注:電池交換不可)
Lightcurb  www.lightcurb.com
Kontakt  www.kontakt.io
Glimworm  www.glimwormbeacons.com
Bluesense  http://bluesensenetworks.com/
Reco  http://reco2.me/
Redbear  http://redbearlab.com/

この記事はBattle of the beacons. An insight why not every beacon is an iBeaconをUsable IoT blogが日本向けに編集したものです。

関連記事

エスキュービズムニュースレター!
IoT用語辞典
お役立ち資料
無料ダウンロード
ページ上部へ戻る

運営者

  • 株式会社エスキュービズム
  • 〒105-0011 東京都港区芝公園2-4-1芝パークビル A館 4階
  • TEL : 03-6430-6730(代表)
  • HP:https://s-cubism.jp/