ビッグデータの価値を向上エッジコンピューティング

エッジコンピューティングがIoT時代のビッグデータの価値を高める

IoTでは膨大なデータをリアルタイムで処理・分析し、制御する必要があります。これからより多くのモノがネットにつながりますが、その処理能力についても向上させる必要があります。
今回のキーワードは「エッジコンピューティング」。IoT時代のコンピュータの処理方法はどのように変化していくでしょうか。


1. コンピュータの処理方法の種類について

コンピュータにとって大きな命題となるのが処理速度の速さです。CPUの能力だけでなく、処理の方法によっても大きく左右されます。
IoT時代を迎えるにあたり、各デバイスによって集められたビッグデータをどのように処理・分析するかについて、頻繁に議論されるようになってきました。
脚光を浴びつつあるエッジコンピューティングの話に入る前に、コンピュータの処理方法について、並行処理と分散処理を取り挙げてご紹介します。

システム全体の処理速度を上げる並列処理

まず並列処理とは、複数のプロセッサにそれぞれ計算を割り当てて、同時に計算・処理させる方法のことを指します。単純な言い方をすれば、1台のプロセッサで計算するのではなく複数のプロセッサに協力させることでシステム全体の処理速度を速くしようという考えに基づいています。また並列処理というとき、処理方法だけでなく、並列処理できる環境を活用するためのプログラミング手法やソフトウェアを含める場合もあります。

並列処理と一口にいっても、様々な方法があります。代表的なものとしてまず挙げられるのが、一台のコンピュータの内部で並列的に処理を行うもの。
たとえば、一台のコンピュータ内にプロセッサを複数設置する「マルチプロセッサ」、またプロセッサ内部で複数の処理装置に分散させる「マルチコア」などがその例です。「マルチコア」については、近年のパソコンにも取り入れられているので、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

また、プロセッサを搭載した複数のコンピュータがシステムを構成し、同時に処理を行う「クラスタシステム」と呼ばれる手法も一般的です。それぞれ単独で動かすことが可能なコンピュータ同士を、ネットワークで連携させて大きな一つのコンピュータとして利用します。これら全てを含みこむ言葉としては、並列処理という用語よりも、一般には「パラレルコンピューティング」という言葉が使われることが多いようです。

大規模な計算を行うための分散処理

他方、分散処理とは、複数のコンピュータやプロセッサによって構成されるシステムを、ネットワークなどを通じて連携させ、同時に計算・処理させる方法のことを指します。遺伝子の解析や気象の予測、さらには惑星規模の環境変動などといった大規模な計算に取り入れられている方法です。

一つのシステム内で処理しようとすると膨大な時間がかかってしまうものを、複数のシステムに分割するという意味では、並列処理とほぼ完全にオーバーラップしているように思えます。
実際、両者を明確に区別することはとても困難で、専門書などでも曖昧にされることが多く、分散処理を並列処理の一形態として分類する考え方もあるほどです。

pc

分散処理と並列処理との違い

分散処理と並列処理との違いについては様々な解釈がありますが、ここではひとまず次のように定義しておくことにしましょう。
並列処理が複数のコンピュータやユニットによって一つのシステムを構成することを表すのに対して、分散処理は、複数の「自律的」なシステムが連携するシステム」。
つまり、分散処理では、それぞれのコンピュータやユニットは異なる環境(ファイルシステム構成)下においても作動させることが可能です。また仮に100台のコンピュータから構成されるシステムの場合、それぞれのユニットが自律していれば、そのうちの1台が仮に故障したとしても、他の99台は何ら影響を受けることなく、動作を継続することができます。

並列処理においては、万が一、コンピュータやネットワークに不具合が生じたり、分断が発生したりしてしまった場合に、システム全体の安定性が損なわれてしまう恐れがあります。
膨大な数のデバイスからのデータ集積・分析を行うことになるIoT時代のコンピュータにそのような事態が起きた場合、保持していたデータが丸ごと失われてしまうということにもなりかねません。
その意味では、IoT時代には、分散処理システムがより適しているということができるでしょう。


2. エッジコンピューティングのメリット

ネットを通じた遠隔操作によってデータセンターのデータ保管領域やソフトウェアを利用できる、いわゆるクラウドコンピューティングが全盛を極めています。
ところが広範囲に分散したモノどうしをつなぐIoT時代においては、各IoTデバイスから集められた膨大なデータを、そこから遠く離れたクラウドで集約するという処理方法は、コストの面でもレスポンスの速さの面でも、非効率的と考えられるようになってきました。

そこでより効率の良いコンピュータ処理のあり方として注目を集めるのが、それぞれのIoTデバイスから近い場所でコンピューティングを行うエッジコンピューティングです。
エッジコンピューティングとは、ネットワークの末端(エッジ)ユーザーのそばでコンピュータ処理を行うことを指しています。
つまりIoTデバイスから採取したデータを至近距離で処理することが可能なため、わざわざ遠隔地にあるサーバに送る必要がなく、ネットワークコストがかからず、またリアルタイムでデータの解析を行うことができるというメリットがあります。

また、エッジコンピューターを導入することで、データセンターの負担を大きく減らすことにもなります。IoTデバイス同士で人の介在なしに集めるM2M(Machine to Machine)情報は膨大で、サーバーとの通信の頻度や量は爆発的に増えることが予想されます。
そうしたいわゆるビッグデータの一次処理を行うものとして、エッジコンピューターの存在に期待が集まっています。
ユーザから近い距離にある端末に搭載されたAI(人工知能)がデータセンターに上げるべきかどうかの選別・抽出を行うことで計算が効率化され、データをセンターに集約するために必要なネットワーク帯域を削減することが可能になるというわけです。

ai_img

エッジコンピューティングにAIを取り入れることのメリットはそれだけではありません。IoTデバイスで集めた情報をその場で処理し、即座に人々が必要な情報に変換して提供することが可能になります。さらには快適な住環境作りを目的としてユーザが必要とする商品やサービスを提案するなど、マーケティング分野に応用することも考えられるでしょう。


最後に

エッジコンピューティングが有用なのは、膨大なビッグデータをクラウドに送り、蓄積することにともなうコストやレスポンス速度など、効率面において優れているからだけではありません。なにより快適な社会・生活を実現するために、社会に広く分散するIoTデバイスを、より私たちの生活に寄り添った形で連携させるエッジコンピューティングの存在は不可欠であると言えるでしょう。


エスキュービズムが考える「IoT」

“モノを買う時代”から、“サービスを利用する時代”へ

関連記事

訪日外国人客が集まる街へ インバウンド地方創生プロジェクト
エスキュービズムニュースレター!
IoT用語辞典
お役立ち資料
無料ダウンロード
ページ上部へ戻る

運営者

  • 株式会社エスキュービズム
  • 〒105-0011 東京都港区芝公園2-4-1芝パークビル A館 4階
  • TEL : 03-6430-6730(代表)
  • HP:https://s-cubism.jp/