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「モノのインターネット(IoT)」、その本質に迫る

~2つの実例から考察する、最新テクノロジーを駆使したモノのインターネット(IoT)がもたらす可能性とリスク~

近年、一部の専門家の間では「モノのインターネット(IoT)」が近い将来大きく成長を遂げると予測されています。事実、IT分野の調査・助言を行うGartner社はモノのインターネットが2015年には一大トレンドとなると断言し、インターネットマーケティングなどを手掛けるIDC社もモノのインターネット市場は2020年までに7兆ドルを超える大きさにまで拡大すると予想しており、このような流れの中で2015年はモノのインターネットを利用したアプリが多数登場し、ビジネスだけでなく個人としても便利なサービスの提供が実現され始めるとみられています。

冷蔵庫や防犯アラーム、自動車の電機パーツに医療機器にまで及ぶ幅広い分野でスマートデバイスからセンサーのデータを集積することが可能で、これを上手く利用すればモノのインターネットは我々の日常生活の様々な場面において便利な機能を発揮してくれる可能性を秘めています。

Capgemini Consulting社から発行されたモノのインターネットに関する書籍の中では、モノのインターネットには以下のような3つのサポート機能があると説明されています。

基本情報サポート:
デバイスが警告やアップデートを知らせる。(例:全自動洗濯機が洗濯サイクルの終了を知らせるなど)。

遠隔作業サポート:
デバイスを遠隔作業できる。(例:住宅防犯アラームシステムを携帯電話を使って仕事先からONにできるなど)

パフォーマンス向上サポート:
デバイスが情報を収集・分析して、製品の定期メンテナンスや今後の品質向上に活用する。

ここでは3番目の「パフォーマンス向上サポート」の活用例をいくつか取り上げ、単にデータを集めるだけでなく、リアルタイムで上がってくる情報を分析し有効活用させているケースを掘り下げて見ていきたいと思います。

The Buddy Platform社の場合

最初のケースとしてご紹介するBuddy Platform社は、先ごろスマートデバイスから集められたデータを保管・閲覧することの出来るモノのインターネット・ソリューションを発表しました。

一度収集されたデータはSplunk、Salesforce、Microsoft Dynamicsなどに代表されるビジネスインテリジェンス(BI)ツールと同期化することが出来、データの収集自体に関してもHTTPのコードを若干調節するだけで良く、特別なファームウェアなどは必要ありません。従って、複雑なプログラムや環境設定の変更などをすることなく、自社製品の使用状況に関するデータを簡単に収集・分析することが可能となるのです。

このように、企業にとっては自社デバイスの稼働状況をリアルタイムで把握するだけでなく分析も可能であるとなれば、カスタマーサービスの向上や商品の品質向上に結び付けることが出来るようになります。自動車メーカーを例に見てみると、ブレーキシステムから送られてくるデータをリアルタイムで把握、分析することで、ブレーキ系統に深刻な故障が発生する前に問題点を発見することが出来るようになり車の安全性向上につながります。しかもこれはドライバーにとって有益な機能というだけでなく、メーカー側にとってもコストがかさむ大がかりなリコールを未然に防ぐことにもなるため非常に大きな助けとなるのです。

SpaceCurveの場合

一方、2つ目の例として取り上げるSpaceCurve社は、大規模なデータ管理システムと空間データ(センサー、モノのインターネット、モバイル機器、ソーシャルメディア、その他ストリーミングデータソースからのデータ)に求められるスケールとパフォーマンスを併せ持った空間データのプラットフォームを提供するサービスを展開しています。

同社は空間や時間の情報(例:センサーの設置場所)の入ったストリーミングセンサーデータの管理を最適化することで、データを基にしたリアルタイム分析と迅速なアクションの実施を可能にしています。また、時間の経過と共に一定のパターンや傾向を示す追加のデータソースとの関連付けをするための基盤も用意されています。

(引用元:A Plane / oatsy40

例えば、飛行機の過去のセンサーデータとリアルタイムで得られる現在の状況下でのデータとを比較関連付けさせる事で、現状に対応した形での微調整が可能となります。さらにここで得られる情報と合わせて、周辺地域の気候状況や空港の混雑具合、他フライトの遅延の有無などに合わせて飛行機のセッティングやフライト計画をアップデートさせることが出来るのです。

モノのインターネットのプラス面とマイナス面

このようにモノのインターネットは個人利用者や消費者、さらにビジネスにとっても多くの利便性をもたらしてくれるものであるのは明らかですが、多種多様の情報を収集するという事にはマイナス面も含まれています。

つまり、自宅の情報や医療患者の個人情報といった機密性の高いデータがハッキングされてしまう恐れも無いとは言えないのです。

(引用元:hacker / zodman

例えば「スマート冷蔵庫」はそろそろ牛乳を買い足すように伝えてくれる機能を持つのですが、我が家の冷蔵庫に自分たちの牛乳の消費量情報を取集させることが実際にどれだけ必要なのか、という点が問題となるのです。また、機密性の高い患者の個人的な医療情報を医療機器メーカーに簡単に収集管理させてしまう事に対しても今一度よく考えてみる必要があるのかもしれません。

こういったプライバシー情報に関する問題点は最近では政財界においても特に注目を集めてきており、FTC(連邦取引委員会)代表のエディス・ラミレス氏は、個人情報管理における注意点についてインターナショナルCES(国際消費家電見本市)をはじめとした様々な集まりの場において意見を述べています。

まとめ

モノのインターネットの登場によって、大規模データの活用法に新たな側面が加えられることは間違いありません。つまり、データが多いほどしっかりとした情報に基づいた判断が可能になり、カスタマーサービスや商品の品質向上、さらにはより効率的な消費者サポートの実施などが実現するのです。しかし、集められたデータはリアルタイムで関連付けや分析を行う必要があり、データ元との関係も考慮しなくてはなりません。先に取り上げたBuddy PlatformやSpaceCurveなどはこの点をしっかり押さえた好例で、このようなケースがより多く登場することで製造、医療、セキュリティなどといった幅広い業種において高いレベルのカスタマーサービスを提供することが可能になります。

一方で、モノのインターネット市場が成長すると同時にプライバシーや情報管理の安全性に関する課題も出てきます。しかし、これは取り立てて新しい問題という訳でもなく、取り扱うデータの量が莫大であるがゆえにより慎重な管理が求められるという事なのです。具体的には、モノのインターネットに関するセキュリティ問題というのはそのままサイバーセキュリティ全般の問題と繋がってくるため、オンライン上における個人情報の取り扱いに関するシステムの再構築が不可欠となってくることが予測されます。

この記事はWhat the Internet of Things can do for youの記事を海外小売最前線が日本向けに編集したものです。

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