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諸刃の剣のコアコンピタンス経営

設立したばかりの会社は1年以内に30%が倒産し、3年以内に90%の会社が倒産すると言われています。それほどまでに会社経営は難しいのですが、そんな中でも圧倒的な力で永続的に存続している企業があります。一体この違いは何なのでしょうか。

  • コアコンピタンスは圧倒的な市場優位性を生む
  • 条件は顧客の利益になる、他社に真似されづらい、横展開できることである
  • コアコンピタンスを獲得すれば、価格競争に巻き込まれずにビジネスができる
  • 日本企業にとってコアコンピタンス経営は最善の方法かもしれない
  • Mizkanや味の素はコアコンピタンス経営の実践企業である
  • さらに優れたコアコンピタンスが生まれた時には太刀打ちができない
  • 横展開と第二のコアコンピタンス発見が企業経営のターニングポイント

圧倒的優位で会社経営を行う術:コアコンピタンス

他社が真似できないほど圧倒的な核となる能力をコアコンピタンスと呼びます。会社経営においては自社サービスや技術を模倣されることは日常茶飯事ですが、コアコンピタンスは基本的に模倣されません。というより模倣ができないのです。
簡単には模倣されないほど高い能力がコアコンピタンスになります。

コアコンピタンスの条件

コアコンピタンスには一定の条件があります。それが以下の3つになります。

1:顧客に利益となる能力であること

これはもはやコアコンピタンスに限った話ではありませんが、最低限の条件として顧客に価値を提供する能力でなければなりません。顧客が損をするような技術は該当しないということになります。

2:他社に真似されづらい能力であること

簡単には実現できないノウハウや技術を獲得してこそ他社と大きな差別化が可能になるのです。圧倒的に高い技術やノウハウが条件の1つです。

3:横展開できる能力であること

1つのサービスでしか使えない能力はコアコンピタンスとは呼びません。複数の商品に応用できる能力がコアコンピタンスです。その能力を持って様々な市場や様々な商品に展開でき、横断的に活躍してくれる能力でなければなりません。

以上がコアコンピタンスの3条件です。

企業経営をする上でコスト削減や効率化が声高に叫ばれていますが、それよりも重要なことは企業の競争力を上げることです。コスト削減や効率化は財務状態を健全にするためであって企業経営の本質ではありません。

企業は競争力が高いことが最も大事です。そのためにはコアコンピタンスの獲得は必須と言っても過言ではありません。

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コアコンピタンス獲得のその後

コアコンピタンスを発見すると、まず1つの市場で圧倒的優位に立つことができます。他社の動向や同類品の価格等は関係ありません。
なぜなら新しい能力で開発しているため、ユーザーは他商品と価値を比較できないからです。これは売上の安定を意味します。

そしてその市場でシェアを圧倒的に獲得した後、他の市場で戦いを挑むようになります。コアコンピタンスは他の市場でも新しい能力のはずなので、市場に適合すれば圧倒的優位に立つことができます。既存技術ではもはや太刀打ちができません。
コアコンピタンスは既存の市場を破壊しながら独占的な地位を獲得できます。市場構造を変えてしまうほど大きな力を持っているのです。

コアコンピタンス経営のはじまり

コアコンピタンスはゲイリー・ハメルとプラハラードが1990年にハーバード・ビジネス・レビューに寄稿したコアコンピタンス経営(注:日本語訳)がその概念の始まりと言われています。
特にこの寄稿では、日本企業ホンダのエンジン技術が取り上げられているのが興味深いところです。日本企業は相対的に技術力が高く、他の企業が有していない能力を持っている会社も多いので、日本企業にとってはコアコンピタンス経営は最適かもしれません。

ゲイリー・ハメルとプラハラードが「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」として定義した。 両氏は実例として、ホンダのエンジン技術、ソニーの小型化技術、シャープの液晶技術などを挙げている。
コア・コンピタンスとは|MBAのグロービス経営大学院
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11777.html

coporate

コアコンピタンスに優れた企業の例

日本企業はコアコンピタンスでバブル前後に世界を驚かせてきました。ソニーの小型化技術やシャープの薄型液晶技術もコアコンピタンスの一例です。
ただし電化製品メーカーの例はあまりにも有名なので、今回は食品関連メーカーに絞ってコアコンピタンスに成功している企業を紹介します。

株式会社Mizkan(ミツカン)

日本の酢と言えばミツカンです。株式会社ミツカンは調味料をメインとした大手企業ですが、その中でもとりわけ醸造酢メーカーとしての地位、シェアは圧倒的に高い企業です。そのためこの酢製造技術をコアコンピタンスとして、調味料以外にも横展開しています。
例えば、ポン酢や中華の酢豚ソース、寿司酢の素など、調味料の醸造酢から派生して多くの商品を製造・販売しています。それだけにとどまらずMizkanは納豆分野にも参入しています。異分野のように思われますが、Mizkanは酢の発酵技術を応用して納豆が苦手な人でも食べられる製造法を発明しました。
酢製造技術を応用して、表面上は全く異なる市場でも圧倒的な能力を発揮しています。

※ミツカンの「金のつぶ」納豆は業界2位のシェアを獲得しています。

味の素株式会社

味の素株式会社は、うま味調味料を製造販売しているメーカーとして世界的にも有名です。味の素がうま味調味料メーカーとして大躍進した理由は、アミノ酸(L-グルタミン酸ナトリウム)の生産技術にあります。既存の技術と比べて味の素の生産技術は安全性に優れ、コストも安価だったことから、この市場で圧倒的な優位性を確立することができ、比例するようにシェアも拡大していきました。
このアミノ酸生産は他の分野でも活かすことができ、すでに栄養補助食品や甘味料、ひいては化粧品まで応用されています。アミノ酸生産技術だけでここまで横展開をしている味の素は、コアコンピタンス経営のお手本企業です。

世界の物流を変えているAmazon

日本では食品関連メーカーの成功事例を紹介しましたが、世界ではECの雄Amazonが世界を変えています。
AmazonはIT企業のイメージが強いですが、Amazonの強みはむしろ独自の物流システムになります。商品を圧倒的な早さで届けるAmazonはもともと本やCDを取り扱うEC企業でしたが、物流システムを構築したことで生鮮食品など期限が決まっている商品まで取り扱えるようになりました。
最近ではリアル店舗への活路も見出そうとしています。独自物流システムをコアコンピタンスとして多くの市場で圧倒的なシェアを奪っているのがAmazonです。

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コアコンピタンスは良いことばかりではない

このようにコアコンピタンスを一度獲得してしまえば怖いものなしのようですが、実はリスクもあります。
圧倒的な一つの能力を横展開するコアコンピタンスは、裏を返せば一つの技術に依存しているため、ビジネス的には視野が狭い状態です。日々革新的な技術やサービスが生まれる現代においても、1つの技術に執着して経営していかなければならない大変さを併せ持っています。

また、いくらコアコンピタンスと言われている優れた技術であっても永遠ではありません。時間が経過すればより優れた技術が登場する可能性は大いにあります。そうなった時にコアコンピタンス経営の企業は一気に窮地に立たされることになります。

第二のコアコンピタンス発見がカギ

以上のように、コアコンピタンスには強力な市場優位性を確保できる反面、さらに上をいくコアコンピタンスが生まれた場合は急激に競争力を失う可能性もはらんでいます。ある意味コアコンピタンスは諸刃の剣なのです。
しかし、このリスクはビジネスをする上では不可避であるともいえます。コアコンピタンスの優位性を失うリスクを常に頭に入れて、第二のコアコンピタンスを積極的に探すことがコアコンピタンス経営では重要になってくるのではないかと感じます。

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