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『モノ消費からコト消費へ』は本当?訪日外国人の目的別消費額の比較から見るインバウンド効果

今、日本人の消費の目的が変わってきています。
普段私たちが生活をする上で商品やサービスを購入する消費活動は、「モノ消費」と呼ばれます。高度成長期で言えば、ほとんどの日本人の夢は一戸建ての家を買うこと、車を所有すること、大型家電を買い揃えること。これが一種のステータスとなっていました。

一方で現代の消費はモノ消費よりも体験することを重視した「コト消費」が増えてきています。コト消費の例としては、旅行や文化体験といった体験にスポットを当てた消費活動のことです。

今回は日本人のコト消費とモノ消費に関する意識の変化と、コト消費はこれからどうなっていくか、またコト消費・モノ消費とインバウンドとの関連性について外国人旅行客の消費額と目的別消費額を比べながら述べていきたいと思います。

    目次

  • なぜモノ消費からコト消費にシフトしているのか
  • コト消費はこれから伸びていくのか
  • 訪日外国人によるインバウンドはコト消費?モノ消費?
  • まとめ

●日本人の意識の変化:モノ消費からコト消費へ

モノ消費からコト消費にシフトしている理由としては、ある程度モノが行き渡ったためと考えられます。

以下、日本の消費者の意識の変化についてグラフで表したものを見ていきたいと思います。

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(出典:内閣府 「国民生活に関する世論調査」を加工)
http://survey.gov-online.go.jp/h28/h28-life/gairyaku.pdf

こちらは内閣府が発表した世論調査です。横軸が調査年月で昭和47年~平成28年までのデータです。生活における「モノの豊かさ」と「心の豊かさ」についての重要度を割合として表しています。

グラフで見てわかる通り、物の豊かさを求める割合は下がり続けているにも関わらず、心の豊かさを求める割合はどんどん伸びています。

さらに、こちらは2016年の調査ですが、図1では「多くの物を所有することは幸せだ」と考えている人は「非常にそう思う」「ややそう思う」という人は全体で37.2%。
「あまりそう思わない」「全くそう思わない」という人は62.8%という結果になっています。

graph_2

一方で図2では「物を所有するより、得られる体験にお金をかけたい」と考えている人が「非常にそう思う」「ややそう思う」という人で69%という高い数値を示しています。

graph_3

(図1,図2の出典:PGF生命 「シェアリング・エコノミーと所有に関する意識調査 2016」)http://www.pgf-life.co.jp/is/news/NB300.do?NID=1346

●コト消費はこれから伸びていくのか

日本国内で言えば、コト消費はまだ伸びていくものと予測されます。
しかし、日本国内の少子高齢化に伴いモノ消費もコト消費も爆発的な伸びというものは生まれづらいと言えるでしょう。

以下のグラフで見ると、15~65歳の生産年齢人口が下がっていっている傾向であるのに対して、65歳以上の高齢化率は増加傾向であり、2055年では高齢化率が40%という世界でもかつて例のない超高齢社会になると予測されています。

graph_4

(出典:厚生労働省資料
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/07.pdf#search=’日本+人口推移’)

消費活動を活発にする15~65歳の労働人口が少なくなってくると、それだけ経済活動も縮小していきます。近年の若者は裕福だった時代を知らない世代が増え、賃金の上昇も見込めないことから買い控えをする傾向が見られます。大きな消費を行うことは少なくなっており、わかりやすい例では若者の車離れが挙げられます。若者はスマホを駆使してフリマやシェアリングサービスを利用することでそれほど大きな消費を行なわず、身の丈に合った消費活動をしていると言えます。
このような背景があるため、国内だけで物の消費を促すには限界があります。

(参考:ロイター通信 焦点:消費低迷の裏に団塊高齢化、ミレニアル世代の消費構造も大幅変化)
http://jp.reuters.com/article/consumer-idJPKCN1200DM?pageNumber=1

そこで今注目されているのが外国人訪日客の存在です。外国人を相手にサービスを提供することで消費活動を活発にすることができます。

●訪日外国人によるインバウンドはコト消費?モノ消費?

一時期爆買いで有名になった中国人の訪日旅行は落ち着いたように見えますが、旅行客の多さは健在です。昔と多少異なるのが、買い物袋や家電が入ったダンボールを抱えた爆買いを行っている訪日旅行客を以前より見かける機会が減った点です。中国人が爆買いをしなくなった理由としては元安の問題があります。また越境ECという新たな市場の台頭により、わざわざ現地に出向いて買い物をする必要性が薄れ、ネット環境があれば国外での買い物が済んでしまうことも挙げられます。

現在は外国人訪日客に人気とされているのがコト消費と様々なメディアで取り上げられています。日本の文化体験や、着物体験、日本の美食ツアー、スキー、温泉といった体験型のサービスに対して魅力を感じている人が多くなったと報じられていますが、果たして外国人旅行客の消費の目的は本当にモノ消費からコト消費へシフトしているのでしょうか?

以下では訪日外国人の旅行消費額について見た後に、目的別消費額を見ていきたいと思います。
観光庁の報告書によると、訪日外国人の旅行消費額は以下の通りとなっています。

○ 平成28年の訪日外国人旅行消費額(確報)は3兆7,476億円、 前年(3兆4,771億円)に比べ7.8%増。

(出典:観光庁 訪日外国人動向調査 プレスリリース/調査結果の発表 2017年3月31日)
http://www.mlit.go.jp/common/001179539.pdf

また、2016年には訪日旅行客が過去最高の2,000万人超を記録し、旅行客の増加に伴い消費額も順調に増加しています。近年ではこうした旅行客増加と旅行客による消費の促進効果に注目が集まり、インバウンドを意識したサービスを打ち出しているところも多く見かけるようになりました。

外国人旅行客による訪日旅行の国別消費金額を見ると、半数以上がアジアという結果になっており、1位:中国、2位:台湾、韓国、4位:香港の消費金額合計だけで2兆6,523億円、全体の約70%を占めています。

同じく観光庁の資料で、訪日外国人消費額の費目別構成比という資料があります。以下の図を見ると、2015年も2016年も依然として買い物にかける金額が高いことが確認できます。2015年と2016年での変化は、宿泊料金と飲食費、交通費は多少増加したものの、コト消費とされる娯楽サービス費ではさほど変化がなく、買い物の比率は多少減っただけで、劇的な変化はありません。全体の消費額の7割を占める近隣アジアからの旅行客の目的が買い物であるため、この図から読み取れることはまだモノ消費は健在であり、コト消費の経済規模は小さいと言えます。

(出典:観光庁 http://www.mlit.go.jp/common/001179539.pdf)

以下の記事では、現在観光庁から発表されている2017年四半期の訪日外国人による消費額が過去最高となっていることについて書かれていますが、目的別消費額で見ると依然として買い物の比率が高くなっている、とも述べています。

観光庁が訪日外国人の消費動向調査を発表。17年4-6月の消費額は1兆776億円と前年同期(9534億円)と比べ13.0%増加し四半期で過去最高の数字となっていることが判明した。

(中略)

消費額の費用項目で見ると、1位買い物(38.5%)、2位宿泊料金(27.5%)、3位飲食費(19.4%)となっているが、娯楽サービス費は3.2%に留まっている。

(出典:Economic News: 訪日外国人の消費が四半期で最高を記録)
http://economic.jp/?p=75627

多くのメディアでは【インバウンドにはコト消費がこれから重要になる】と論じていますが、消費金額や消費の目的別比率から見るかぎり、コト消費がこれから大幅に伸びている、またこれから伸びるという結果は得られませんでした。

しかし、インバウンド消費は増加の傾向があるため、コト消費だけに着目するのではなく、全体的なインバウンド消費が上がっていることに着目すべきです。
以下の資料は矢野経済研究所による国内インバウンド消費(物品購入のみ)についての報道資料です。2015年までは消費金額は順調に伸びており、2015年に1兆4,849億円を記録。2016年には消費額は減りますが、2017年から2020年までの予測値では消費がまた伸びていくと予想されています。

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(出典:矢野経済研究所 プレスリリース「国内インバウンド市場に関する調査を実施(2016 年)」)https://www.yano.co.jp/press/pdf/1632.pdf

●まとめ

日本ではこれから人口が減っていくことに加えて、生産労働者人口の減少と高齢化率の増加、また生産労働者の買い控えが顕著になっていくことから、モノ消費やコト消費について爆発的な伸びは期待できないでしょう。

代わりに訪日外国人観光客を呼び込むことによって、日本国内の消費を促進することが期待されますが、コト消費だけに着目するのではなく、モノ消費も依然として高い関心があることから、消費活動を促すためには、並行してモノ消費を伸ばすための施策を取ることも重要であると言えます。

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